奥田民生/ひとり股旅スペシャル@広島市民球場(DVD)

kitschsyrup2005-02-27

大衆を熱狂させ、マニアックを黙らせる。奥田民生というミュージシャンが、数少ないそんなアーティストであることに異論のある人は、きっとそんなにはいないんじゃないか。ドクターストレンジラブをバックに、バンド形式でのライブも勿論良いんだけども、このひとり股旅という形式の演奏は、形容のしようもなく素晴らしい。見に行けなかったのが本当に悔やまれる。

アコギ一本で、一人で歌う。例えばそういう人では、山崎まさよし辺りが一番有名だろうか。しかし、ひとり股旅が(優劣ではなく)圧倒的に響いてくる理由ってのは、やっぱりあるのだろう。そしてそれは恐らく、ひとり股旅というパフォーマンスの実直さなのだと思う。続けて山崎まさよしと比較して言うならば、まさよし氏は、ブルースを基盤としたフレージングで、実に多彩に楽曲を彩る。伴奏がギター一本とは言っても、楽曲は多彩に展開する。対して、民生のギターは、元々アコースティック用に作っている曲でないこともあり、多少の味付けはあるものの、基本的には全くシンプルにコードをかき鳴らすだけ。

言うなれば、曲勝負。歌勝負。純粋に、いい曲を。単純に、いい歌で。聴かせることの出来る、奇跡的なパッケージが、これなのだと思う。一人の人間が、約3万人(勝手に推定)を圧倒するパワー。8000円っつーのは全然高くない。amazonとかで買えば2割引だし。特に、『人ばっか10.30』からラストにかけての……いや、言いたくねぇなぁ。とにかく見るべし。

ひとり股旅スペシャル@広島市民球場 [DVD]

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