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ちょっと36時間で累計24時間ほどバスに乗る機会があったので、延々と音楽聴いてました。個人的に勉強している、バンドサウンドのミックスに焦点を当てて。安物のイヤフォンしか持って行かなかったのを後悔したほど、かなりの聴き込みができ、非常に有意義な時間でした。制作用のヘッドフォンを持ってっときゃ良かったなぁ。
あんまり細々と書いても仕方がないのですが、結論としてはやっぱり素材が良ければ、ミックスでも何でも出来る、という、当たり前といえば当たり前のこと。そもそもの録り音が良い音で録れている、ということの重要性。これに勝るクオリティの向上は、やはりありえないのだなぁ、と。
例えばエレカシ(プロデューサー:佐久間正英)は、実にシンプルにミックスすることでヴォーカル、バンドの良さを引き出しているし(もっとも佐久間氏が関わっている作品は質感がかなり違うので賛否はあるだろうが)、椎名林檎(プロデューサー:亀田誠治)は、音作り、音の配置ともに極端なミックスをすることで、全ての音が戦い合った上でヴォーカルを更に際立たせるという、声自体の存在感があるからこそ出来る、鬼のようなミックス。聴きながら、笑いそうになった。東京事変はそれを更に推し進めていて、耳に痛いほど。あれはやりすぎだと思います。けど、あそこまでやったら楽しいだろうなぁ。最近のスピッツのアルバムも亀田プロデュースのがあるって聞いたので、そのうち聴き比べてみたいと思います。
ミスチル(プロデューサー:小林武史)なんかは逆に完全にポップスサイドからの作りになっていて、いかに効果的に音を足し算して、印象的な場面を作り出すかに尽力している感が。イエモンとかジュディマリもこっちに入るのかな。今回は聴かなかったので、今度聴いてみよう。
そんな中でもやっぱり一番好きだったミックスは、ピロウズ(プロデューサー:吉田仁)。もう明らかに録り音のクオリティが負けてるの。ヴォーカルも線が細いし、不安定。それをミックスで粗は目立たなくし、その上で素材は目立たせていかなければならない。涙ぐましいほどの努力のあとが、そこにはありました。いちいち挙げていくとキリがない(バンドの名誉にも関わってくるかもしれない)ので割愛しますが、とにかく、吉田仁という人は、それだけの手間をかけるだけの愛情を、このバンドに持っているんだなぁ、と。ギャラも多くはないだろうに。それは、何より素晴らしいプロデュースではないですか!と無理矢理キレイにまとめたところで、この文章を締めさせていただきます。