コーヒーメーカーが欲しい。
ふとそう言い出した僕に、彼女はあらゆる反論を持ち出してきた。それはもう、何故にコーヒーメーカーを買うだけの話でこんなに、というレベルで。同棲しているわけでもなければ財布を握られているわけでもないので、そもそもそんなに反論される理由もないんだけど。
コーヒーメーカーというものはコーヒーという飲み物に対して特別な欲求のある人間の持つものだから、それだけの思い入れのないならダメ、といった、コーヒーに対する思い入れを根本から問いただしてみるものから、どうせ飽きるからダメ、といった、小学生が新しい遊具をねだるときにたしなめるかのような口調のものまで(事実、その類の欲求であることは否定できない)、古今東西のあらゆる説得口調を駆使され続け数十分。ふと思いついて、じゃあ買うのやめようかな、と言ってみたところ、返す刀で返事が。
「えーやめるのー?」
そういうことかー!!