音楽というものには、良い悪いとはまた別の尺度として、キャパシティみたいなものがある、と考えています。そういう考え方をし始めたのは、クイーンの50万人ライブの映像を見て、50万人を熱狂させるパワーみたいなのの存在を感じさせられたのが決定的だったわけですが、それはライブにも音源にも存在すると思います。それは、それだけの人数を受け入れる覚悟であったり、曲自体の(あるいはバンドの)向いている方向であったり、まぁ色々あるとは思います。それが全てではないけれども、ある程度の人数を引き受ける能力がある、というのは、きっと1つの強力なパワーだと思うのです。話はそれるけども、そういう意味では10万人の動員をするグレイとかラルクのライブを見てみたい気もします。彼らが10万人の熱狂を作り上げるのに、どんなパワーを使っているのか、それには非常に興味があります。
話を戻して極論すれば、僕の大好きなピロウズというバンドは、このキャパが小さい為に、どんだけいい曲でもヒットとかしないんだろうとか、ぐだぐだと考えているのです。
そして今、またこんなことを考えているのは、ミスチルのせいなわけで。「例えば何十万人のキャパを持つバンドが、うっかり1人とかに向けて小さい単位に収束する曲を作ったら、一体どうなるんだ?」という。そんな話。多少意味不明だけども。「タガタメ」っていう曲は、大きなテーマとかよく聞くけど、そういう意味で、極めてパーソナルな、ちっちゃい曲だと感じています。だからこそ、強い意志に支えられてるとかとは違う、変なエネルギッシュさを感じるんだと思います。全世界に向けて歌うことと、その先にいる誰か、に歌うこと、ってのは、きっと違うことなんだろうな。