BUNGEE JUMP FESTIVAL/CRUITHNE

kitschsyrup2005-01-05

そういえば続き書くつもりでほっぽってたので、うん。贔屓目を存分に加味して、こいつを昨年の個人的ベストアルバムに選出したいと思います。歌詞を引用しながら、という普段は禁じ手にしている手法を用いて書いてみます。
頭4曲のテンションの高さにて、このアルバムの勝利は確定してます。拙いギターのストロークが何故かハマっている一曲目『少年少女』。「少年はひねくれてばっかりで 少女をいつも困らせてた」「だけど少女はそんな少年のことが大好きだった」決して饒舌とは言えない、このオープニング。明らかに創作で物語調であるんだけど、余りに不器用に響くために、逆にこのバンド自体のアティテュードをこの上なく浮かび上がらせる、この一節。多分、ひねくれてると思ってるのは本人だけで。そんな様子が、かえって、その真っ直ぐさを眩しく映す。そうだ、こういうバンドなんだよなぁ、バンジーは。そんな幸福なオープニング曲を経て、2曲目『アニー』。「濁ってる 濁ってる 何もかも 濁ってみえるよ」というブリッジの対象のない苛立ちや、「行かなくちゃもう 行くあてもないのに」と歌うサビの理由のない焦燥感は、気持ちを入れて歌い上げることで、実にポジティブなマニフェストとなる。全ての感情をぶち上げて、尚且つ常に前向きに昇華させようとする姿勢は、全く素晴らしいという言葉に尽きるのです。そして、4曲目『さよならブルーバード』。「何一つ変わらないと 誓ったあの日から 僕はどれだけ 変わってしまったんだろう」ありそうといえば全くありそうなフレーズであるけれども、これがストレートに僕に響いてくるのは、「変わってしまったんだろう」という、「あの日」のイメージを持ち続けているリアルさ、しかし、それを具体的には思い返すことのできないノスタルジー、更にはそれに後悔をしていない潔さ。この辺が理由になると思います。とにかく色んな意味で嘘のつけないバンドだと思うのです。そんなバンドが、迷いなく作り上げただろうアルバム。素晴らしくないわけがない。「太陽の光がもっと見える街に生まれてたらなあ もっと誰かと愛し合ったり信じあったりすることが出来たかなあ」そんなコンプレックスを持ったバンドの、精一杯に正直な感情のつまったアルバムです。ひょっとしたら、これが名盤と呼ばれることはないかもしれないけど、出会う人が出会えば、一生モノになり得るエネルギーを持ったアルバムだと思います。最高。

CRUITHNE

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