余りに太陽が気持ち良かったので、港で昼飯食べてた。
ら、そこはやはり港。強風が原付のヘルメットを煽り、転がしていく。しかし、ちょうどそのとき電話をしながら飯を食ってたので、ヘルメットを拾う余裕なんて皆目ない。まぁいいか、転がしておけば。そう思って放置しようと決めた瞬間、にこにことおばさん3人組が現れて、あらまぁ、と拾ってくれた。
ありがとうございます、とお礼を言ってみたものの、何だか様子がおかしい。何しろ、いつの間にか囲まれている。リーダー格の女性が、僕に手をかざしながら口を開いた。「カラダを軽くしてあげましょう」ってそっちの人かーっ!
そしてしばらく。3人でよってたかってカラダを軽くしようとした挙句、僕がそれを感じられなかったことを告げると、可哀相に、という目で見られた。何だこれ。更にそこで諦めてくれりゃ良かったものの、続きがまだあった。「雲を消して見せましょう」。や、それはいいです。そう答えると、じゃあこれだけはやらせてくれと次に主張したのが、「その弁当(ほか弁)の味を変えてみせます」。
3人は、僕のビッグチキンカツ弁当に向けて念を飛ばす。既に充分、食事をおいしく頂けない状況になってるよなぁ、と思いつつ、彼女らの念が終わるのを待つ(優しいなぁ、俺)。待つこと数分。念を込められ終え、促されるままに食す。「どうですか?」と訊ねられたけども、全然味に変化ない。変わりませんよ、と伝えると、「じゃあ味を戻しますね!」って変わってねぇって言ってんだろ!!声に出して突っ込まなかった自分を褒めてあげたい。

そんな一日が終わり、帰路に着いた。信号待ちをしてた時に、ふと違和感を感じて、見た道端。フルフェイスに黒のタンクトップの男が、クネクネと電信柱と踊っていた。一応、彼の名誉の為に付け加えておくと、バイクらしきものは近くに見当たらなかった。まぁそんな一日だ、と思った。